この章では、保育所の役割や保育所と幼稚園の違いについて解説していきます。

1.保育所の役割

保育所は、「児童福祉法」に基づく児童福祉施設です。

児童福祉法」とは、1947(昭和22)年12月12日に公布された、児童の福祉を保証するための法律です。

「児童福祉法」第39条では、保育所について以下のように規定されています。

「保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者のもとから通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が20名以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く)とする」

保育所の主な役割は、以下の3通りです。
①入所する子どもの保育
②入所する子どもの保護者に対する支援
地域の子育て家庭に対する支援

それでは、それぞれの役割について説明していきます。

①入所する子供の保育

保育所における保育の特性は、環境をとおして養護と教育が一体的に展開されることにあります。環境には、保育士や子どもなどの人的環境、保育室や設備、遊具などの物的環境、自然や社会などの環境があります。子どもは、環境に主体的にはたらきかけ、様々な経験をすることにより成長します。子どもの興味・関心が引き出されるような環境を子どもの姿に寄り添いながら計画的に構成していくことが、保育には求められます。

②入所する子どもの保護者に対する支援

保育所は、保育を必要とする子どもを保育するとともに、その子どもの保護者に対する支援を行います。保育所における保護者支援について、保育所保育指針では以下のように述べられています。

保育所保育指針 第1章 総則 1 保育所保育に関する基本原則 (2)保育の目標 イ

保育所は、入所する子どもの保護者に対し、その意向を受け止め、子どもと保護者の安定し
た関係に配慮し、保育所の特性や保育士等の専門性を生かして、その援助に当たらなければな
らない。

保護者支援には、保護者の子育てに関する相談にのり、保護者の心情に丁寧に寄り添いながら適切に助言を行うことや保護者の子育てを援助する取り組みなどが含まれます。また、子どもの成長を保護者と共有することにより、成長の喜びをより一層深めることや、保護者の子育てに対する意欲や自信を向上させることができます。

③地域の子育て家庭に対する支援

「児童福祉法」第48条の4には、保育所に入所している家庭以外にも、保育所に入所していない地域の子育て家庭に対する支援も、保育所の努力義務として規定されています。努力義務とは、日本の法制において、「〜するよう努めなければならない」などと規定されるもので、違反をしても罰則や法定制裁を受けることはありません。

児童福祉法第48条4

保育所は、当該保育所が主として利用される地域の住民に対してその行う保育に関し情報の提供を行い、並びにその行う保育に支障がない限りにおいて、乳児、幼児等の保育に関する相談に応じ、及び助言を行うよう努めなければならない。

2.保育所と幼稚園の違い

保育所とよく似た施設として幼稚園があります。保育所と幼稚園の違いを以下の表で確認していきましょう。

保育所幼稚園
管轄厚生労働省文部科学省
根拠法令児童福祉法学校教育法
社会的役割児童福祉施設教育機関
対象保育を必要とする乳幼児・その他の児童原則として満歳以上小学校就学前までの幼児
保育・教育時間原則時間標準時間
資格保育士資格幼稚園教諭免許
設置運営基準児童福祉施設の設備及び運営に関する基準「幼稚園設置基準」
保育・教育内容保育所保育指針幼稚園教育要領
❗赤字の部分は重要ですのでおさえておきましょう。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」には、保育所の保育時間、職員の配置基準、設備や空間の広さ、耐火・避難設備などが定められています。

この章の解説はここまでです。お疲れさまでした。

まとめ

この章の要点をチェックしていきましょう!

✔保育所は、「児童福祉法」に定められる児童福祉施設であり、保育を必要とする乳幼児及びその他の児童の保育を行う。

✔保育所の役割は、①入所する子どもの保育②入所する子どもの保護者に対する支援③地域の子育て家庭に対する支援の3つである。

✔保育所は、厚生労働省の管轄のもと、児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、幼稚園は、文部科学省の管轄のもと、学校教育法に基づく教育機関である。

✔保育所の保育時間は原則時間、幼稚園の教育時間は標準時間である。

覚えて合格!重要単語

最後に、試験に出る単語を確認していきましょう!

  • 児童福祉法・・・1947年に施行された、児童福祉保証するための法律。

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